NFTとアートと知的財産について

今年の初め、NFTが6,900万ドル(約78億円)で落札された。あまりに高額なため大きな注目を集めた。そしてこの時から熱狂が始まり、10年前のビットコインブームのようにNFTが話題となったのだ。また興味深いことに、NFTは今年の流行語大賞に選ばれ、世界を席巻したことが立証された。

アーティスト、スポーツ選手、音楽家などのNFT(デジタル資産)の価値が急騰しているため、自身の作品にマネタイズの可能性を見出してきた。2020年には数百万ドル(約億円)だったNFTの取引額は、2021年の第2四半期末には数十億ドル(約数千億円)規模になっている。

NFTとその最新のテクノロジー・エコシステムにおける役割については、まだ多くの人が理解していない。しかしその人気ゆえに、NFTはクリエイター、コレクター、投資家にとって無視できない存在となった。ただユーザーやIP所有者にとってのNFTの価値はまだ曖昧で、このようなユニークな資産から潜在的な問題が生じる可能性もある。

NFTがクリエイティブ産業、知的財産権、他のテクノロジーへ与える影響を明確にすることを目的としている。

NFTとは何か、NFTの価値とは何か?

非可溶性トークン、通称NFTは、ブロックチェーン技術に基づくトークンであり、デジタル形式であらゆる収集可能な資産を表すことができる。アートワーク、曲、ビデオ、スクリーンキャプチャー、ゲーム内アイテムなどだ。まず、「ファンジブル」という言葉を理解する必要がある。何か(お金や商品)を同じ価値のあるアイテムと交換すると、それはfungibleになる。逆に、Fungibleでないアイテムは、ユニークで他の何とも交換できないものだ。

簡単に説明すると、NFTはデジタル資産を表すユニークなファイル(データ)だ。NFTはブロックチェーン技術に依存して、他のファイルと取引できないユニークなファイルを生成する。それがNFTの非代替性という性質であり、NFTに価値を与えているのだ。

土地の権利書が土地そのものを描いていないように、NFTはデジタル資産を表現しているに過ぎないのだ。NFTはアートワークではなく、デジタル形式で表現しているに過ぎない。俗に言う他人事だが、NFTを所有しているにもかかわらず、作品そのものを所有しているわけではあらない。購入するのは、固有のデジタルIDを保有するデジタル資産だ。NFTを取引する際には、デジタル資産またはハッシュが売買される。

ではNFTマーケットプレイスで取引するために、原画をNFTに変換するにはどうすればよいのだろうか?まず、作品を含むデジタルファイルをNFTプラットフォームにアップロードする。ブロックチェーンには技術的な制約がいくつかあるため、ファイルサイズが大きすぎても保存できないため、作品そのものをブロックチェーン上に存在させることはできない。そのため、NFTの必要性が生じるのだ。

次に、アルゴリズムによって、アップロードされたファイルの英数字のデジタルIDが作成される。これは、2つのファイルが同じデジタルIDを持つことができないため、ユニークな署名またはハッシュとなる。またアルゴリズムは、基礎となる作品と結びついたメタデータ・ファイルを作成する。このファイルには、デジタル著作物に関する情報だけでなく、基礎となる著作物のデジタルIDも含まれている。

サイクルの仕上げとして、ブロックチェーンで構成される「スマートコントラクト」にメタデータ記録に着目したURLを設置する。この最後のステップで、NFTが作成(または「造幣」)される。NFTをミントした個人は、スマートコントラクト内のNFTの「所有者」とみなされる。この個人以外はスマートコントラクトを実行することができない。NFTの買い手はこのように、NFTに付随するスマートコントラクトを実行する能力を本質的に獲得している。

このため、NFTの買い手は原作に対する所有権を主張することができない。彼はこのIPに対する権利を得られないのだ。NFTに組み込まれたスマートコントラクトは、アート、音楽、GIFを作成した人に独占的な所有権を提供する。しかし、作品にはアクセス可能なままだ。NFTはデジタル資産への変更不可能なリンクを提供し、このバージョンは非常に価値のあるものとして残る。

NFTは、デジタル上に消滅することのない資産としてその価値を得るのだ。また基本的には、デジタル資産を保護し、認証するための方法とも言える。

通常インターネット上のデジタル資産には多くのコピー(複製)が存在する。したがって、価値が担保されないモノだった。しかしNFTの技術を組み込むことで資産にオリジナルを付与することで、価値を証明し、所有権を与えることが可能になった。またデータの特定配置が、ユニークなハッシュを生成し、画像の1ピクセルでも変更すれば、ハッシュは変化するのだ。したがって、NFTはブロックチェーン上の原作を証明する技術として注目を浴びている。

NFTのこの要素は、ブロックチェーン上の異なるトークンには見られない。NFTは異なるトークンとは対照的に 取引されたり 別のもので代用されることはないのだ。実際、区別できないデジタル著作物の2つの複製は、本質的にメタデータの新しい配列を生み出すことになる。各複製はそれぞれ異なる特定のNFTを持つことになる。

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